協議会概要

ICD講習会

概要

概要

インフェクションコントロールドクター(ICD)制度の発足に向けて

 現代の医療水準は、高度の医療技術、設備を背景に発展を遂げていますが、病院はcompromised hostが集団生活をする特殊な環境であるため、病院感染を惹起しやすい状況にあります。適切な病院感染の制御が行われなければ、患者さんおよび医療職員を感染被害から守ることが出来ず、病院の機能そのものを果たし得ないことになります。
 病院感染対策の充実のためには、医師、看護師、薬剤師、検査技師など、多くの職種の協力が必要であり、それらを統合する病院感染対策委員会の設置が求められています。この委員会が有効な機能を発揮するためには、各職種の役割を理解し、感染制御の専門的知識を有するエキスパートの活動が不可欠です。この様な専門家をインフェクションコントロールドクター(infection control doctor、以下ICD)として位置づけ、質の高いICDを養成・認定し、そのレベルを保証するためにICD制度協議会が1999年4月に発足しました。初め6学会合同でスタートしましたが現在は19の学会・研究会(後述)で組織される大きな協議会となっています。

  1. 認定ICDの役割と義務
     ICDは感染対策に関係する多くの職種の役割を理解すると共に、感染制御に関する専門的知識を基にそれらを統合し、効果的対策を実践する専門家でなければなりません。本制度では医師であること、もしくは感染症関連分野のPhD(ドクター)の学位を有していることが要求されますが職種は問いません。
     ICDは病院感染を防止するために主として次のような役割を果たします。
     a)病院感染の実態調査(サーベイランス)
     b)病院感染対策の立案と実施
     c)対策の評価および対策の見直し
     d)職員の教育・啓発
     e)病院感染多発(アウトブレーク)時の対応
     f)伝染性感染症発症時の対応
     ICDは上記役割を滞りなく果たすため、学会活動や研修会などを通じ、最新の正しい知識と情報を得、そのレベルを維持、向上させて行く義務を負っています。
  2. ICD制度の概略
     病院感染の制御に関連の深い日本感染症学会、日本環境感染学会、日本細菌学会、日本ウイルス学会、日本医真菌学会、日本寄生虫学会、日本化学療法学会、日本外科感染症学会、日本骨・関節感染症研究会、日本小児感染症学会、日本臨床寄生虫学会、日本臨床微生物学会、日本眼感染症学会、日本救急医学会、日本歯科薬物療法学会、日本耳鼻咽喉科感染症研究会、日本集中治療学会、日本性感染症学会、日本産婦人科感染症研究会から委員の推薦を得、ICD制度協議会(以下協議会)を組織し、ICDの認定をしています。協議会はICDの資質の向上のために毎年数回の講習会を行っています。
    (1)ICD認定条件
     次の3条件を全て満たす場合、ICDに応募できます。
     a)協議会に加盟しているいずれかの学会の会員であること(会員歴の長さは問わない)。
     b)医師歴が5年以上の医師または博士号を取得後5年以上のPhDで、病院感染対策に係わる活動実績(感染対策委員歴、講習会出席、論文発表)があり、所属施設長の推薦があること。
     c)所属学会からの推薦があること。
     ICD認定委員会で以上の条件を満たしていることを確認し、協議会がICDとして認定します。加盟各学会は被推薦者の資質に対し責任を持つこととし、認定ICDにはICD(◯◯学会推薦)の如く推薦学会を明示しています。
    (2)資格の更新
     5年毎に資格を更新しなければなりません。更新条件については、実績や講習会、学会への参加などを点数化し、積極的に資質向上のための努力をして初めて更新できる制度となっています。

(平成11年1月20日)

※加盟学会数、加盟学会名称等に変動がございます。現在の加盟学会一覧はこちらをご覧下さい。

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